池田dr
先生は当院唯一の地元出身医師ですが、最初から地元に帰ってくるおつもりだったのですか?
迷いはありましたよ。
やはり、大学病院で症例を重ねて自身のキャリアを突き詰めていくことに魅力を感じないわけではありませんでした。ただ、私が勤務する前の鹿行地域の医療状況は県内でも本当に悲惨な状況でした。正直なところ、帰るか大学に残るかで揺れ動いていましたね。
何がきっかけだったのですか。
考えが変わったとしか言えませんね。
私は地元出身で両親ともに地元に住んでいます。もし、両親が病気になった際に鹿行地域にいたら一体誰が治すのかと考えたときになにも思い浮かびませんでした。
それからですね地元に帰ることを考えるようになったのは。
医学部進学希望者のセミナーの講師の際に同じようなお話をされていましたね。
そうですね。やはり医者も人ですから見えない使命感に頼ることよりも、まず身近な所に目的を見つけることから初めてほしいと思っていますので、学生の皆さんに伝えています。
高度医療から得られる最新の知見や治療方法というのはすごく魅力的ではありますが、地域住民の皆さんとのかかわりの中で問診・検査・診断・治療・経過観察といった一連の流れから得られることもすごく大切なことです。特に私は自分が生まれ育った地域ということもありそういった過程に充足感がありますね。